人生が足りない

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デスノート新作読み切りの感想(2020)

ジャンプスクエア2020年3月に「デスノート」新作読み切りが掲載されていたので読みました。

ジャンプSQ. 2020年3月号

懐かしい……。

連載当時は小学生~中学生でしたが、家族も友人もこぞって読んでいましたね。大好きな漫画です。

L座りを実践したのは当時の私だけではないはず。

 

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あらすじ

知能テストで3年連続全国1位の「日本一頭のいい中学生」である田中実(たなかみのる)のもとに死神・リュークが訪れノートの所有者になるよう持ちかける。実は思案の末にひとつの計画を思い立ち、「2年後にまた来るように」とリュークに告げる。約束通り2年後また訪れたリュークに対し実が語った「ノートを使わない」計画とは…

ネタバレなし感想

オチが賛否両論のようで、確かにちょっと疑問が残る点はあったのですが(ネタバレあり感想で後述)、それを差し引いてもおもしろかったです。

「デスノート」というタイトルでありながらノートを最後まで誰も使わず、それでも87ページずっと目が離せない展開が続きます。

 

まず実くんのキャラ造形がとてもよい。

  • 学校の成績は大したことない(デスノートの英語の説明文が読めずリュークに「マジかよ」と言わしめる)
  • 世直しにはまったく興味がない
  • デスノートを使って人を殺すなんてとんでもない、こんなヤバいノート持っていたくない

という、月と比べると一般ピープルに近い感性なのが読者にとっても身近に感じられます。

それでいて頭は死ぬほど良いというのが痺れる。大半の読者はデスノートを仮に手にしたところで人を殺したいとは思わないと思うんですけど、じゃあどういう風に立ち回るのが正解か?という解をものすごい完成度で示してくれます。

夜神月(やがみらいと)という名前は「稀代の殺人鬼なので、絶対に現存の人物と被らないように」ということでつけられたそうですが、「田中実(たなかみのる)」っていうド平凡な名前がそれと対照的なのもいいですね。

 

そして扉絵に「今この時代のデスノートの物語。」とあるように、2020年というこの時代を如実に反映しているのが臨場感があった。

実はノートと過去にキラがしたことの説明を受けてすぐに「今同じ事をしても捕まるだろうな」と結論づけます。

実「今は街中監視カメラだらけ 電車の車両にも付く時代 車やバスにはドライブレコーダー」

リューク「それじゃ確かにFBIは殺せなかったかもな…」

実「サイバー犯罪への対応もレベル上がってるからキラのメッセージをネットに流すのもすぐ足がつくし携帯の通信も警察は全てチェックできる」「ネット上の発信元が特定できないなんてドラマや映画のストーリー上の都合」

確かに……。「さよならレイ・ペンバー」とか言ってる場合じゃないわ。

他にも計画のなかでツイッターを利用したり、各国首脳(Aべ首相、Tンプ大統領)が出てくる(クリソツ)あたりおもしろかった。途中学生たちがニュースを知るのもツイッターの公式アプリで上のほうに出てくるアレっていう細かい点もリアル。

 

あと小畑健先生について今更こんなことを言うのもアレですが、絵がバリクソに上手いです。上手いっていうかもうアートの域。

特にカラーの扉絵は、リュークの前で実くんがリンゴを口元に当てて持ってるっていう構図としてはシンプルなものですが、書き込みが精緻で、目線や陰影のつけ方もあって物凄く色気・雰囲気のある絵になっています。好き。

 

というわけで総合して良いものを読ませてもらったな~と思います。

いろんな人の知略が交錯するのにワクワクしたり、「あ、頭いい~~~~」ってゾクゾクしたりする興奮を再び味わえて楽しかった。 

 

あと全く関係ないんですが

ツイッターでバズってたテニプリの「デカすぎんだろ……」がマジで載っててアホほど笑いました

 

ツイッターではこの見開きだけが話題になっていたので、前後を読めばデカ過ぎた理由がわかるのかと思いましたが、読んでも1ミリもわからなかったですね。

 全部読んだんですが、最初の話はヒゲのおっさん(※仁王がイリュージョンしてる)がサーブしたと思った次のページでいきなり海賊が登場し、ボールもコートも全く出てこない船上でのバトルシーンが見開きで10ページ続き、途中敵チームの人が「ダブルスは2人でやるもんじゃないの?」とちょっとテニスっぽいことを発言するもその手にはラケットではなくモーニングスターが握られているという斬新な展開でした。人数以前にテニスはコートでやるものだよ。

 

というわけでジャンプスクエア2020年3月号はいろんな意味で見どころたっぷりなのでオススメです。

 

以下デスノートの話に戻り、ネタバレありの感想です。

ネタバレあり感想

 

 

 

 

 

ざっくりまとめると

デスノートをアメリカに売った対価1000兆円を、ヨツバ銀行に口座を持つ60歳以下の都民に等分で振り込ませるという方法で金を得る計画を遂行した実であったが、「デスノートの売買をしたものは死ぬ」というルールが死神大王の手により後付けで追加され、お金を引き出した瞬間に死んでしまった

というお話。

 

一番思ったのはオチの良し悪し以前に「日本の個人資産が急に1000兆円も増えたら経済への影響がヤバイのでは?」ということ。それもアメリカの資本で。

いや経済のこと何もわかんないけど・・・インがフレったりなんかそういう・・・・・・

「令和バブル」で済むようなかわいいものなのか?と思いました。

あと絶対に殺し合いレベルの犯罪も頻発するだろうし、仮に実くんが計画を完遂したとして、「10億円受け取って大金持ち、めでたしめでたし」では終わらないんじゃないかなあ。

 

オチは賛否両論になるのもうなずける。頭脳戦はルールの範疇でやるからおもしろいんであって、自分のあずかり知らぬところで勝手にルール追加されてたらたまったものじゃないよね。

実くん自体は人を殺したわけでもなく、計画に明らかな穴があったわけでもないだけに単純に可哀相…と思ってしまった。

 

ただ根底に「デスノートを使った人間は不幸になる」というテーマがあること、デスノートはそもそも死神のために存在している人智を超えたものであり人間がコントロールしきれるものではないよねということを考慮すると、これはこれでデスノートらしい結末なのかもしれない。最後についていた「何に魅入られるかで人生は変わる。」という煽りがセンスある。

 

アメリカ大統領(トランP)が「デスノートは受け取らないけどキラの力は得たと発表する」という判断を下したのはおもしろかった。最強の抑止力。それでも1000兆円に見合うかはちょっと疑問だけど。(アメリカのGDPは大体2000兆円くらいらしい)

他の国が手に入れるよりはマシなのかな。

 

釈然としない点もありますが、やっぱり自分としては上述のようにそれでも楽しませてもらったかと思います。

ニアがあんまり活躍してなかったので、かつてのLvsキラのような白熱するバトルをニアvs新キラでも見てみたいですね。

 

【最初読んだときよくわからなかったけど、後からこういうことかとわかったところ】

①どうして実は最初に2年期間を置いたのか?

⇒リュークの姿が自分の家近辺で監視カメラに映っているかもしれず、すぐに行動を起こしたらそこから足がつくかもしれない。(リュークの姿が見える人がこの世にいるかを確認したのはそのため)

2年間を置き、かつ2年後に現れる際は必ず地下を通って移動させることで絶対に足がつかないようにした。

 

②なぜ最後にリュークは実の名前を書いたのか? 月と違ってルールが原因で死んだのだから書く必要はないのでは?

⇒ネットで調べたところ、デスノートの所有者が死んだ場合死神はその所有者の名前を書くというルールがあったらしい。全然覚えてない。